2005年05月07日

業者も知らない落とし穴

業界紙を見ているとシックハウス関連の記事で、代替物質について
報告されていた。そこに載っている代替物質の中に酢酸エチルという
名称があったので特に目を引かれ3年前のことを思い出した。

ホルムアルデヒドは規制も受け、現在では建材関係ではほとんど
気にかける必要はなくなっている。代替物質とはホルムアルデヒド
などの代わりに使用される化学物質のこと。

私が3年前室内空気の精密分析を開始し、一番最初にぶち当たった化学
物質、それが酢酸エチル。この酢酸エチルには規制値も指針値もない
物質なので一般的には気に止める必要はないと考えるのが普通だと思う。

ところがトルエンの指針値に換算しても10倍以上が検出され、調べて
みるとWHO(世界保健機関)の要注意リストにのっているではないか!?

一体何から出ているんだあ!!!

心の中で叫びながらも見えないことへの苛立ちで泣きたくなった。
最初まったく発生源が分からないままにとにかく当面は他の住宅も完成する
度に全棟の精密分析を行うことにした。そして6棟ほどの空気分析結果
を一覧にまとめてみたとき、またしても新たなワケ解らん事態が・・・

ムク材をたくさん使用している住宅に限って検出量が多い!?

これってどういうこと??

これじゃやってることがやぶ蛇じゃねえのお!

俺らは何やってんだろ・・・(..;

調査すればするほど、見えないドツボにはまってるような・・・


この時はこんな調査なんかやらない方が良かったのではないか、
知らないままで居た方が幸せだよなあ・・・と正直思った。

でも出た分析結果をそのままにもしておけないのも分かっている。
「こんなこと工務店レベルがやることじゃねえよお!」と自分に
愚痴を言いながらも「やれるところまでやってみんべえ!」
と開き直る。

それから、各住宅ごとの使用材料、特にムク材(木材)関連に使用
される塗料などの成分表などの収集から始めた。

そして、その後の技術スタッフとの検討会で接着剤ではないかと想定
するところまではたどりついた。

その理由は、現場の大工はムク材であればあるほど接着剤を多量に使用
する。ムク材の施工後の反りを防ぐためだ。反るとお客様からクレーム
になる。フローリングなどは反るときしみの原因にもなるのでクレーム
を避けたい大工になればなるほど多量に使用しているのが現状だった。


接着剤をまず変えてみよう!


各メーカーの接着剤の資料を取り寄せ候補を絞る。結果はすぐには出ない。
測定できる完成時期までだから結果は3ヶ月後になる。3ヶ月も待たなけ
れば結果が出ないのも悲しかったが、こればかりはどうしようもなかった。

そして3ヵ月後、分析結果はこの問題が解決されるきっかけとなり、何とか
胸をなで下ろすことができた。

しかし、今でも酢酸エチル以外の物質について分からないままな疑問は
残っている。接着剤は使用しないしないのが、一番良いことと思う。
ところが、強度を保ち、且つ住まい手の許容範囲の仕上がりを達成しな
ければならない。

これらのことから私には泣きたくなることもあったが、業者は接着剤を
知り使用木材の特性に合わせた施工のノウハウが必要であることを痛感
する良い機会になったと思っている。


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大工大工(だいく)とは、主として木造建造物の建築・修理を行う職人のこと。情報元:Wikipedia...
大工【大工のススメ】at 2005年05月15日 05:59
この記事へのコメント
お〜!なるほどです。
いや、ほんとに生情報をありがとうございます。今後の私の展開にかなりの影響を来す良い情報でした。これからも、閲覧を楽しみにしております。
Posted by なんぶです at 2005年05月08日 00:51
はじめまして。
私も設計士のたまごです。まだ化学物質の名前を聞いてもよく分からないのですが、そんなところまで具体的に教えてくれる参考書みたいなものがあるのでしょうか。表面から分からないことって多すぎますよね。一般からは得られない情報をありがとうございます。これからも勉強させていただきます。
Posted by トマト at 2005年05月08日 10:32
なんぶさん、初めまして!
シックハウス関連情報は現場に活用できる情報がないのが実情です。だから自分で検証することでしか知りえないことばかり。自然素材だから大丈夫という表面のみの健康住宅が多すぎるのではと思いますがいかがでしょうか・・・
Posted by 親方 at 2005年05月09日 19:38
トマトさん、初めまして。建材毎の参考書ってないです(わたしの知るところでは)大学の研究室などにはデータがあるようですが、先生方曰く「企業や業界に影響があるので知っていても情報は出せない」のだそうです。
Posted by 親方 at 2005年05月09日 19:44
シックハウス問題については、まだまだ正しい認知度が低いようですね。
私は、この問題の啓発活動をはじめて10年に成りますが、発病してあわてる方が多くで困っています。
それも、シックハウス症候群を超えて、化学物質過敏症(CS)の方の相談が多くなっています。
また、最も困るのが自称元CS患者の方々の新たな患者への知識のすり込みです。
それほどでも無かった患者が、一夜で重傷に変わるケースも有りますから!
こうしたブログが増えて来ることを期待します。

高知から・・西やんでした。
Posted by 西やん at 2005年06月11日 12:13
西やん、はじめまして。
西やんのおっしゃることすべてに同感です。
シックハウスという名称のせいでしょうか、
私も”シックハウス症候群=家が原因”短絡的に結び付けられるのが
困りものだと感じています。確かに被害者にすれば鬼がいないと自分の
気持ちをぶつけようがないことも分かるんですが・・・

被害者のそれまでの暮らし方や職業を確認すると、元々予備軍である
ことが多い。私は複合要因だと常に思っていますが、少なくとも
自分の関わる住まいに関しては要因の何割かでも減らせたらと思って
います。道程はかなり遠そうですが・・・

Posted by 親方 at 2005年06月12日 19:35
久々 このブログからのアクセスで・・・・。
被害者意識を持ってはダメです。
多くの事例は、施主も共同正犯です。
それは、マイホームに無関心と言う最大の行為です。

我が家な何か?
それは財産です。
財産の増減を他人に託すと、如何なる事態に成るか経済事犯で立証出来ますが、マイホームは別物・・・?

まるで会食後のショートケーキかな?
Posted by 西やん at 2005年07月03日 19:46
西やんさんに全くの同感です。
西やんさんはすごいですね。ブログ拝見しましたが、勉強になります。
Posted by 親方 at 2005年07月04日 23:20